地域おこし協力隊

地方創生の一環として注目を集める地域おこし協力隊。
本記事では、地域の魅力向上や新たな産業創出に貢献する地域おこし協力隊の基本的な内容から具体的な事例、さらには関連する取り組みまでを幅広く解説します。

地域おこし協力隊の基本知識

地域おこし協力隊は、2009年に総務省が創設した制度で、隊員は都市部から過疎地域などの条件不利地域に移住し、地域の活性化や課題解決に取り組みます。
この制度の主な目的は、都市部の人材を地方に呼び込み、地域の活性化を図ることです。隊員は、1年から3年の任期で活動し、その間、生活支援金として年額最大200〜250万円、活動経費として年額150〜200万円が国から給付され、安定した環境で地域貢献に専念できます。
令和5年度の地域おこし協⼒隊の隊員数は7,200⼈で、取組⾃治体数は1,164団体(受⼊可能⾃治体1,461団体の約80%)と、創設以来年々拡大している制度です。

活動内容

地域おこし協力隊の活動は多岐にわたります。
主な活動内容には
  • 地域ブランドや特産品の開発・販売・PR
  • 農林水産業への従事
  • 住民の生活支援
  • 地域の魅力発信
などがあります。
たとえば、地元の農産物を使った新商品の開発や、観光PRのためのSNS運用などが具体的な活動例として挙げられます。
 
①地域おこし協力隊員のできること
②地域の課題
③地方公共団体の求めていること
この3つが重なるものが活動内容となります。

応募要件と選考プロセス

地域おこし協力隊への応募要件は自治体によって異なりますが、一般的には以下のような条件があります。
  • 都市地域からの移住者であること
  • 年齢が概ね20歳から40歳代であること
  • 地域協力活動に意欲的であること
選考プロセスは通常、書類選考と面接によって行われます。自治体によっては、現地での体験活動を経て最終選考を行うケースもあります。

定住への移行

直近5年(平成30年度〜令和4年度)に任期終了した隊員は、7,797⼈おり、任期終了後、およそ69.8%(5,446⼈)の隊員が同じ地域に定住しています。
定住者の4割は起業、4割は就業、1割は就農、そのほか事業承継もあるそうです。
起業は飲食業や宿泊業が多く、デザイナーが工芸に新しい切り口を見出したり、新たな特産品を生み出すこともあるそうです。
就業は公務員や集落支援員になる人もいれば、議員になる人もいます。観光協会や地域のまちづくり公社といった選択肢もあります。
 
定住者の仕事として興味深い事例をひとつ紹介します。
岡山県美作市の上山で地域おこし協力隊に取り組んだ水柿さんは、

地域おこし協力隊の成功事例

地域おこし協力隊の活動は、多くの地域で成果を上げています。
いくつかの成功事例を紹介します。

岡山県真庭市の事例

岡山県真庭市では、地域おこし協力隊の活動が非常に成功しています[2]。特筆すべき点は、任期満了後の隊員の定住率が8〜9割と非常に高いことです。現役隊員の活動内容には、地元学生とのダンス教室や清掃活動、YouTubeやテレビ取材を通じた地域PR、地域イベントの開催などが含まれています[2]。

香川県善通寺市の事例

香川県善通寺市では、地域おこし協力隊の活動が農業振興に大きく貢献しています[2]。ある30代の男性元隊員は、任期中に耕作放棄地の問題に取り組み、農業法人でノウハウを学びました。任期終了後は独立してキウイの栽培事業を開始し、地域農業の活性化に貢献しています[2]。

地域おこし協力隊と関連する取り組み

地域おこし協力隊の活動は、他の地方創生施策とも密接に関連しています。その一つが「企業版ふるさと納税」です。

企業版ふるさと納税との連携

企業版ふるさと納税は、企業が地方自治体の地方創生プロジェクトに寄附を行うと、法人関係税から税額控除される制度です[3]。この制度を活用することで、地域おこし協力隊の活動をさらに充実させることができます。
たとえば、企業版ふるさと納税を通じて得た資金を、地域おこし協力隊が取り組む地域ブランド開発や観光振興プロジェクトに活用することが可能です。これにより、企業の社会貢献と地域活性化の相乗効果が期待できます。

その他の関連施策

地域おこし協力隊の活動は、以下のような施策とも連携することがあります:
  • 空き家活用プロジェクト
  • 移住促進事業
  • 地域おこしインターンシップ
これらの施策と地域おこし協力隊の活動を組み合わせることで、より効果的な地域振興が可能となります。

地域の未来を創る:地域おこし協力隊の可能性

地域おこし協力隊は、都市部の人材と地方の課題をマッチングさせる画期的な制度です。この制度を通じて、多くの地域で新たな取り組みが生まれ、地域の活性化につながっています。さらに、企業版ふるさと納税などの関連施策と連携することで、その効果はより大きなものとなります。
地域おこし協力隊は、単なる地域支援の制度ではありません。それは、参加する個人にとっても新たなキャリアや生活スタイルを見出す機会となり、受け入れる地域にとっても新しい視点や活力を得る貴重な機会となっています。今後も、この制度を通じて多くの地域で新たな価値が創出され、日本の地方創生に大きく貢献していくことが期待されます。
 
地域おこし協力隊はどんな人が多い?
地域おこし協力隊には、さまざまな背景を持つ人々が参加しています。以下に、主な特徴や傾向を示します。

年齢層

地域おこし協力隊の参加者は、一般的に20代から30代が多いですが、最近では40代や50代の参加者も増加しています。特に30代が最も多く、約38%を占めています[6][8]。年齢制限は基本的には設けられていませんが、自治体によっては特定の年齢層を対象とした募集が行われることがあります[2][4]。

性別

男女比では、男性が約62%、女性が約**38%**となっています[6][8]。この比率は地域によって異なる場合がありますが、全体として男性の方がやや多い傾向があります。

職業背景

地域おこし協力隊には、さまざまな職業経験を持つ人々が参加しています。例えば、農業従事者、IT関連の専門家、教育関係者など、多様なスキルセットを持つ人々が地域活性化に貢献しています。また、移住前は都市部で働いていた人が多く、地方で新たなキャリアを築こうとする意欲的な人々が集まっています[1][5]。

健康状態と意欲

応募者には健康であることや地域活動への強い意欲が求められます。活動内容は多岐にわたり、農業支援や観光振興など地域のニーズに応じた取り組みを行うため、心身ともに健康であることが重要です[3][4]。

まとめ

地域おこし協力隊には若い世代からシニア層まで、多様な年齢層や職業背景を持つ人々が参加しており、それぞれのスキルや経験を活かして地域活性化に取り組んでいます。このような多様性は、地域の課題解決に向けた新たな視点やアイデアをもたらす要因となっています。
 
副業OK?
地域おこし協力隊が副業を行うことは可能ですが、自治体によって異なるルールが存在します。以下に、詳細をまとめます。

副業の可否

  1. 雇用契約の種類による違い:
      • 会計年度任用職員(雇用契約あり): この場合、地方公務員として扱われるため、副業が制限されることがあります。具体的には、地方公務員法に基づき「営利企業への従事等の制限」が適用されるため、基本的には副業ができません[1][2]。
      • フリーランス(雇用契約なし): 自治体と委託契約を結ぶ形で活動する場合、副業が自由に行えることが多いです。この形態では、実質的に自営業として活動するため、制限は少なくなります[1][2]。
  1. 自治体ごとの方針:
      • 各自治体の方針によって、副業の可否や条件が異なるため、具体的な状況については事前に確認する必要があります。例えば、ある自治体では副業を許可している一方で、別の自治体では厳しい制限がある場合もあります[2][3]。

副業を考える理由

地域おこし協力隊が副業を考える理由は主に以下の2つです:
  • 短期的な収入確保: 地域おこし協力隊の給与は一般的に16万6千円から22万5千円程度であり、特に家族を持つ世帯には厳しい場合があります。そのため、副収入を得ることで生活を安定させる必要があります[1][2]。
  • 長期的なキャリア形成: 任期終了後に地域に定住することを考える場合、副業を通じてスキルアップや人脈形成を図ることが重要です。特に、起業を目指す人にとっては、任期中から事業の準備を進める良い機会となります[1][2]。

おすすめの副業

地域おこし協力隊として活動しながら行える副業には以下のようなものがあります:
  • 情報発信系: ブログやYouTubeチャンネルを運営し、「田舎暮らし」や地域の魅力を発信することで広告収入を得る方法。
  • 地域特産品関連: 特産品を使った食品開発や販売など、地域資源を活用したビジネス。
  • オンラインサービス: ライティングやデザインなど、自宅でできる仕事も人気です。
副業は地域おこし協力隊としての活動と連携させることで、より効果的な収入源となり得ます。まずは、自分の得意分野や興味に基づいて、副業の可能性を探ってみると良いでしょう。
 
ふるさと納税の資金で地域おこし協力隊活動の事例
ふるさと納税の資金を活用して地域おこし協力隊の活動を支援した事例がいくつか確認できます。

長野県飯綱町の事例

飯綱町では、ふるさと納税を通じて得た資金を活用し、地域おこし協力隊の活動を支援しています[1]。具体的には以下のような取り組みが行われています:
  • ふるさと納税業務に携わる地域おこし協力隊員の募集
  • 返礼品の発注・在庫・発送管理
  • SNSを活用した情報発信
  • 地元事業者との返礼品の新規開拓
特筆すべき点として、飯綱町ではふるさと納税を活用してリンゴ農家を支援する企画を実施し、全国から多くの寄附を集めることに成功しました[1]。

せたな町の事例

北海道せたな町では、地域おこし協力隊のOBがふるさと納税を活用して町の活性化に取り組んでいます[3]。この元協力隊員は、町の人口減少問題に対応するため、ふるさと納税の寄附額を増やすことで町の財政を支援する取り組みを行っています。

指宿市の事例

鹿児島県指宿市では、ふるさと納税の寄附金を活用して、地域おこし協力隊を中心とした棚田の再生プロジェクトを実施しています[4]。具体的には、農業体験やワークショップの開催など、外部から人を呼び込む取り組みを行っています。
これらの事例から、ふるさと納税と地域おこし協力隊の活動を連携させることで、地域の課題解決や活性化に効果的に取り組むことができると言えます。

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